あるく

会社のデスクの一番下の引き出しから持ち出した、使いさしだが900mlほぼ満杯のポンプ型マウスウォッシュ1体を抱えて帰路につく。下から掬い取るように片手に収めてぶらりと揺らしたり、小脇に挟んだり、胸の前に捧げ持つなど工夫をこらす。優しい重みを腹に響かせる。握る力をうまく分散させなければ容器が圧迫され液体がこぼれ出す。たまに意図的に、あるいは無意識的にこぼすことで外界とポンプ内との環境格差を是正する必要がある。ポンプの首と人の視線とが偶発的にかち合う。その火花を足の指先に点火させ歩く。

生活の無題 #1