家 #4

昔から、布団に入ったあとに誰かが仕事をしている音を聞くのが好きだった。皿を洗う音や、ワープロを叩く音を聞きながらウトウトする。自分が眠っているあいだも守られているような気がしていた。
いつからか、家のなかで私がいちばん眠りにつくのが遅い人間になった。実家でも、友人の家でも、自分の家でも、戸締まりと火の元を確認してから布団に入る。耳を澄ます。自分以外のすべてが眠りにおちたことに安堵して眠る。